船長に結婚式を挙げる権限はあるのか?そもそも権限が必要なの?
結婚式のプランには、船長が司会を務めるものがあります。
大海原の船上で船長の立ち会いのもと、少人数の列席者の前で誓いの言葉を立てるのはロマンチックですね。
また、ハンフリー・ボガートとキャサリン・ヘップバーン主演の「アフリカの女王」や、「パイレーツ・オブ・カビリアン」を始めとする映画でも、船長が結婚式を執り行えるという描写があります。
そんな影響もあってか、船長には結婚式の司会進行を行う権限があると思っている人が意外といるようです。
しかし、船の船長に法的に「結婚式の司会進行を務める権限」があるかは国によって異なります。そもそも「結婚式の司会進行」に権限が必要な国でのみ意味があるため、日本では資格自体が不要なのです。
船長の「結婚式を挙げる資格」の意味
日本では証人の署名がある婚姻届を役所に出せばそれで結婚したことになります。
そのため結婚式には法的な意味はありません。
ですから、誰が式の進行を行おうが、式がどんな形式であろうが、婚姻関係成立には関わりがありません。
婚姻届が全てなので、神前結婚であろうが、船長の立ち会いのもとであろうが、結婚式をしようがしまいが、結婚できます。
しかし、法的に婚姻関係を成立させるためには結婚式が必要な国ではそうはいきません。
そういった国では、司式資格のある人物の司会進行の元で結婚式を挙げる必要があります。
アメリカの司式資格保持者
アメリカでは、司式資格のある人の進行による結婚式をしないと、行政的に結婚したとは認められません。
映画やドラマで、役所や裁判所で判事(裁判官)や市長の前で誓いの言葉を立てるシーンがあります。あれは法的に結婚を認められるために必要だから行っているわけです。
アメリカの場合は州によって異なりますが、判事や行政職員の担当者、聖職者に法的に司式資格が与えられています。
聖職者にも結婚式の司式資格が認められているので、教会やモスクで行う結婚式でも、法的に結婚を認められる仕組みです。
ラスベガスのドライブスルー結婚式は、聖職者として司式資格を有する牧師による挙式です。
そして、法的な司式資格をもつとする役職リストに、船長はありません。
つまり、アメリカでは船長に法的な結婚式の司会進行を行う権限は認められていません。
「船長」としてでなく、聖職者としての権限で船上結婚式
アメリカでも「船長の司会」による船上結婚式はあります。
結婚式自体は行なえますが、船長の資格だけでは法的に婚姻関係を認められる挙式とはなりません。
しかし、船長が司祭の資格を有していれば話は別。
船長としてではなく、司祭として結婚式を執り行なえば、法的にも認められる結婚式になります。
船長に結婚の権限を認める国で結婚式を執り行なう分には司祭の資格不要ですが、そうではない国では船長というだけでは無理なんですね。
船長による挙式が認められたケースも有る
実際には船長の資格だけで執り行った結婚式が、法的効力があると認められたケースはあります。
一方で同時に認められなかったケースもある。
このあたりの事情が、船長に司会進行の権限があるというアメリカでのイメージに結びついているのかもしれません。
ただ、権限がある役職のリストに船長が含まれないことから、基本的に船長には法的な資格はないと言えます。
違う国の制度はわかりにくい
船長には警察権の一部や裁判権も認められているなど、航海上で多大な権限を有しています。
結婚式も司会進行できる権限があるんじゃない?と思われることがあるのは、船長の権限の大きさが一因なのかもしれません。
そもそも婚姻に結婚式が必要な国の話なので、日本では理解しにくいところですね。
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