日本の生産性が低いのは低失業率にあり!と言いたくて調べてみたら相関なしだった

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日本生産性本部により毎年公表されている「労働生産性の国際比較」の2017年版が2017年22日に公表されました。

日本の労働生産性の低さが露わになるため毎年のように話題になりますが、日本の生産性は劇的に上がることもなければ下がることもなし。20位前後が定位置となっています。

労働生産性2016
労働生産性の国際比較 1時間あたりの生産性上位20国推移2016

今後の少子高齢化による労働人口減少に対応するため、これまで以上に生産性向上が求められています。

しかしICTの恩恵を受けるようになっても状況は変わらず、日本の生産性の伸び率は低いまま。

労働生産性国際比較2013-2016

どうしたら生産性が伸びるのでしょうか。

 

生産性を伸ばすために必要なことは?

労働生産性は次の式で表されます。

生産性 = GDP ÷ 国民の総労働時間

分母が総労働時間ということは、生産性は国民ひとりが一時間あたりに稼ぐGDPの額を意味しています。

サービス残業は労働時間に含まれていないことを考えると、日本の生産性はさらに低いはず。

かりにGDPが増えても総労働時間がその分増えてしまっては生産性は上がらない(とします)。

生産性向上を向上させるには労働時間を増やすのではなく、効率的に生産を行う必要となります。生産性を上げるには次の二通りの方法があります。

  1. 総労働時間を変えずにGDPを増やす
  2. GDPを減らすことなく総労働時間を減らす

1 は、いかに高いもの=高付加価値のものを売るか、2 はいかに効率化するかと言い換えられます。

この条件で日本の生産性を上げる方法を考えてみます。

 

日本の特徴

生産性の高い国と比較すると、日本は失業率と開業率が低いという特徴があります。

生産性と開業率。この二つの要素が生産性向上を阻んでいるのではないか。

サービス残業ブラック企業が多く、潰れるべき効率の悪い会社が生き残ってるために生産性が低い方に固定されている。したがって生産性の低い会社が淘汰されれば、効率のよい企業が生き残って生産性は上がるのではないか。

そう考えて、データを調べました。

ここではブラック企業を「競争力が低く、労働基準法を守ることなく低い賃金で長時間拘束する会社」と定義します。

人件費を削ってブラックなことをしている競争位相手がいる業界では、労働基準法を守っている会社は相対的に競争力が削がれてしまいます。

効率の悪い会社は倒産して淘汰される。結果として強い企業が生き残り、社会の効率がよくなるというのが資本主義の基本的な考え方。ブラック企業が潰れない状況は、経済効率が悪くなる要因となります。

つまり失業率と廃業率の低さは、淘汰システムがうまく働いていない表れとも考えられます。

 

労働生産性と開業率・廃業率・失業率の関係

そこで労働生産性と開業率・廃業率・失業率の相関関係を調べてみました。
労働生産性上位の国の2015年のデータを利用。

結論はというと、生産性と質号率・廃業率に相関関係なし

労働生産性が高かろうが低かろうが、失業率にも廃業率にも影響がありませんでした。

労働生産性2015 失業率2015 開業率2015 廃業率2015
アイルランド 87.3 9.4 7.3 9.4
ルクセンブルク 95 6.7 9.4 7.8
ノルウェー 81.3 4.3 9.1 4.1
ベルギー 68.3 6.9 6.4 3
デンマーク 65 6.2
アメリカ 68.3 5.3 12.4
オランダ 65.4 6.9 9.7 6.4
ドイツ 65.5 4.6 7.1 7.7
フランス 65.6 10.4 9.4 5.3
スイス 64.2 4.8 6.1
オーストリア 60.2 5.7 6.4 6.4
スウェーデン 59 7.4 7.2 5.9
フィンランド 54.8 9.4 6.7 6.7
オーストラリア 54.6 6.1 14.8 12.5
イタリア 51.9 11.9 7.3 8.9
イギリス 52 5.3 14.8 11
スペイン 51.2 22.1 9.2 8.2
カナダ 50.9 6.9
アイスランド 44.6 4
日本 42.1 3.4 5.2 3.8
相関関係 -0.19 -0.16 -0.26

相関係数は(±)3 以上で相関関係が認められるという数字。
最大の廃業率ですら -0.26なので、廃業率は労働生産性に何の影響も及ぼしていないと考えられます。

ブラック企業の存在は生産性に影響しない?

先にも書いたように、生産性の低い企業が廃業すれば失業率は上がるはず。
本来は潰れるべき生産性の低いブラック企業が生き残れば、競合する企業も煽りを受けて経済効率が悪くなると考えられます。

しかし両者の間に相関関係が見られない。

サービス残業分も含めれば労働生産性はさらに低くなる可能性はありますが、そこまで違いが出るとも思えない。

競争力のない企業が残ろうが残るまいが、生産性には関係がないという不思議な結論に至りました。