日本のジニ係数推移 1962~2014
ジニ係数は社会における所得分配の不平等さを表す指標で、1に近づくほど格差が大きくなります。逆に0に近いほど格差が小さいことを意味します。
ジニ係数は修正のない所得(当初所得)と、税金や社会保障の支給といった再分配(格差是正のための施策)後の数字も算出されます。
グラフを見ると日本の当初所得のジニ係数はバブルの直前から上がり始め、2000年ごろから急激な上昇をしていることが分かります。2005年に行われた調査ではジニ係数は0.5を超え、その後も上昇を続けています。海外でも同じ傾向がみられるため、ジニ係数の上昇は格差問題として認識されています。
その一方、日本での再分配後のジニ係数は比較的安定していることから、格差の広がりは是正されていると考えられます。
年 | 当初所得ジニ係数 | 再分配後ジニ係数 |
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ジニ係数
ジニ係数は0から1の範囲をとり、0に近いほど格差が小さく、1に近いほど格差が大きいことを意味します。
格差は税や社会保障の提供を通して、富の再分配が行われることで是正されます。そのためジニ係数は再分配前の「当初所得」と、再分配の結果の「再分配所得」の二つの指標が利用されます。
再分配所得は、税金と社会保障(現物給付+社会保障給付金-社会保険料)による再分配後の所得から計算しています。
世帯の人数によって同じ所得でも生活水準は変わるため、世帯ごとの人数を加味した「等価所得」も公表されています。
いわゆるジニ係数として引用される厚生労働省が3年ごとに実施している「所得再分配調査」の定義は次のようになっています。
- 当初所得とは、所得税や社会保険料を支払う前の雇用者所得、事業所得などの合計。公的年金などの社会保障給付は含まれない
- 再分配所得は、当初所得から税や社会保険料負担を控除し、公的年金などの現金給付と医療、介護、保育などの現物給付を加えたもの
- 等価所得とは、世帯の所得を世帯人数の平方根で割ったものである。
厚生労働省の統計では当初所得に社会保障による給付が含まれていないため、ジニ係数は高く出る傾向にあります。引退して年金を受け取る高齢者が増えるだけでジニ係数が上がってしまうため、日本のジニ係数上昇の一因には高齢化が大きく関係していると考えられています。
反対に再分配所得では社会保障による給付が反映されるため、格差是正の効果が高く見えることになります。
調査ごとに異なるジニ係数
ジニ係数は格差・貧困を評価するための指標として国とを問わず広く利用されていますが、ばらつきもあるため扱いが難しい面もあります。
たとえば日本でも世帯人数や所得の捉え方によって異なるため、同じジニ係数でも調査ごとに違いが生じています。
- 所得再配分調査は、当初所得に老齢年金が含まれていないため、他の調査よりもジニ係数が高くなる
- 当初所得に老齢年金を計算に入れた国民生活基礎調査の結果に基づいて計算すると、ジニ係数は0.1ほど小さくなる
- 単身者世帯を調査対象に含まない全国消費実態調査に基づいて計算したジニ係数は、0.2ほど小さくなる
海外では、税と社会保障による再分配後の可処分所得から算出しています。
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