バミューダトライアングルの謎は謎ではなかった 科学者が明言

2017年7月22日雑学、雑感

アメリカフロリダ半島の先端とカリブ海にあるプエルトリコ、大西洋に位置するバミューダ諸島を結んだ三角形の海域で、謎に満ちた数々の伝説が語り継がれているバミューダ・トライアングル。

バミューダトライアングルは船舶や航空機が痕跡を残さず消えてしまうために、古くから謎の海域・魔の海域として知られ恐れられてきました。

消息を断った船舶や航空機は、その後の調査でも残骸を発見されないことがあるため、船や飛行機が痕跡を残さず消失してしまう海域というミステリーが生まれることになりました。

バミューダトライアングル最近の事故

数多くの謎に満ちた事故が報告されてきたバミューダトライアングルですが、2017年5月には、パイロットとそのガールフレンドと子ども2人の計4人を乗せた双発のプロペラ機がバハマの島から59km地点でレーダーから消失するという事件が起きました。

4人は母の日をプエルトリコで過ごすためにフロリダから出発。通信が途絶えたのは高度2万4千フィート(約7,300m)を555km/hでの飛行中のこと。

墜落した飛行機の残骸とみられる破片は見つかったものの、遺体は上がらぬままに捜索は切り上げられることになりました。

バミューダ魔のトライアングルにまつわる仮説

バミューダ海域の事故がさまざま憶測を呼び、数多くの仮説がたてられてきのは、事故後の捜査で乗客の遺体はおろか、沈没した船や墜落した飛行機の残骸すら発見されないことがあるためです。

代表的な仮説として、オカルトではブラックホール説、エイリアンによる誘拐説があります。

さすがに最近はオカルト説を唱える人は少ないものの、科学的な仮説についてはいくつか存在しています。

メタンハイドレートのブローアウト説

科学的な仮説としては、海底で大量に一時に発生するブローアウト現象でメタンの泡が航行する船の浮力を奪うとするメタンハイドレート原因説。

メタンハイドレートは普段は海底に存在しているだけですが、温度の変化や流れなどの刺激があると大量のメタンが発生します。

ハイドロメタンの気泡によって船が沈没したとする説です。

マイクロバースト説

冷気の塊が下降して、時には風速50mを超える猛烈な突風を巻き起こすダウンバーストが原因とするもの。

ダウンバーストのうち、特に範囲が4km未満の現象であるマイクロバーストによるという仮説。

ダウンバーストによる航空機墜落事故・着陸失敗事故はたびたび発生しています。

バミューダトライアングルの謎はもっと単純だった

オーストラリアのニュースサイトnews.com.auでは、物理学者カール・クルシェルニツキ博士のバミューダ海域に謎はないとする解説を掲載しています。

Bermuda Triangle: ‘There’s been a simple explanation to the disappearances all along’(abc.com.au)

カール・クルスツェルニキ博士はドクター・カールの愛称をもち、科学に関する解説者として知られています。2002年には境界領域研究でイグノーベル賞も受賞という変わった側面も。
ドクター・カールによると、バミューダ海域における事故は、人為的ミスに起因する可能性が高く、解決すべき謎がないとのこと。

ドクター・カール

ロンドンのロイズ(保険組合)とアメリカ沿岸警備隊によると、バミューダ海域での消息不明となった航空機の割合は、世界全体と変わりません。

バミューダ海域は赤道付近に位置し、アメリカという豊かな国に近いため、交通量が多いのです。

バミューダトライアングルはアメリカ・ヨーロッパ・カリブの国々を往来する船舶が行き交っており、世界で最も交通量の多い地域にあたるため、件数も多くなっているという説明です。

実際に起きた事故を見ていきましょう。

■補給艦サイクロプス(1918)

バルバドスを出港し、ボルチモアに向かったアメリカ海軍補給艦サイクロプスは1918年に燃料である石炭と309人の乗員を乗せたまま消息を絶った。

創作チームがバルバドスの航路をたどったが、痕跡を見つけることはできなかった。

1941年にはサイクロプスの姉妹館2隻も同じ航路で消息を絶っている。

原因は未だ不明。

■フライト19(1945)

バミューダトライアングルの伝説がより知られるようになり、謎の海域としられるようになったきっかけは、1945年にTBM(アベンジャーの愛称を持つTBFのジェネラルモーターズ製造版)雷撃機5機が消息を絶ったフライト19事件です。

1945年12月5日、フロリダの海軍航空基地を通常の訓練飛行のために発った5機のTBMが、14人の乗せたまま消息を絶ってしまいました。

さらにフライト19の捜索に出た飛行艇PBM(愛称マリナー)もまた、13人の乗員とともに消えてしまうという結果に。

地上・海上の大規模な捜索にもかかわらず、この日に消えた航空機も人員も見つかることはなかった。

ドクター・カール

飛行機が相次いで消えてしまったことを、エイリアンの仕業に違いないとする人もいる。

しかし、フライト19で飛行経験を積んでいたのは、数千時間の飛行経験をもつチャールズ・キャロル・テイラー大尉ともう一人だけ。残りは訓練生で練度が低かった。その日の天気は悪く、波は15mに達していた。

フライト19のリーダーチャールズ・テイラー大尉は西へ向かうよう命令されたのに、そのまま東に飛行を続けた。

無線記録を読むと、飛行訓練生の『西に向かってはどうです?』という呼びかけに対しパイロットは『東に向かったらどうだ?』と返しています。このことは自己の責任がテイラー大尉に責任があることを示唆しています。

テイラー大尉は自分の機の位置を見失い2度の墜落を経験している(ことを考えると人為的なミスの可能性がある)。

救助に向かった飛行艇PBMは近くを航行していたタンカーの乗員によって、爆発の瞬間を目撃されています。爆発した飛行艇はすぐに波に飲まれて消え去ってしまい、消息は不明のまま。

ドクターカール

「フライト19でも同じことが起こったのだろう」

「メタンハイドレートによるブローアウト現象は現実に生じるが、バミューダ海域では船と航空機を沈没させることはないだろう」

ならばダウンバーストの可能性はどうか。

気象学者チェルベニー博士によれば、冷気の塊により引き起こされるマイクロバースト説(ダウンバースト説)は「バミューダトライアングルでの消失には関係ないだろう」と否定されています。

事故の原因はおそらく悪天候と帯電による機器の故障が原因だと考えられるとしています。

バミューダ海域で起きていたのはふつうの事故

バミューダトライアングルでの航空機が行方不明なる航空機の比率は、世界平均とさして変わらないというのが結論のようです。

事故件数が多いのは裕福な地域であり、航空・船舶の航行が多い。
その結果として事故件数が多くなっているということ。

航空機や船の残骸が見つからないのは、おそらく海流の影響だろうとしています。

ネッシーといいバミューダトライアングルといい、世界中で語られてきたミステリーが消えてしまうのは寂しい気もしますね。

Bermuda Triangle: ‘There’s been a simple explanation to the disappearances all along’(abc.com.au)