留学審査厳格化で反発の声 厳格化が不法滞在者を減らすのに効果があるのか検証してみた

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入国管理局が留学審査厳格化の方針を打ち出し、今月に入ってから「除籍・退学者が10名以上」いた日本語学校に、留学生への審査を厳格化するとの文書を送っていたようです。

 各地の入国管理局が今月に入り、日本語学校に送っている一枚の文書。唐突に2年前のデータで「除籍・退学者が10人以上」だったとし、留学生の入国審査を厳格化する内容が波紋を広げている。不法残留も、大学進学も「退学」とひとくくりにする乱暴さ。対象がなぜ5カ国なのかも定かではない。学費や生活費のため、法定基準を超えて働く留学生に頼る日本社会の実態も考慮されていない。「的外れな対応」「現場を知らないお役所仕事」。関係者からは批判が上がる。

西日本新聞によると対象となったのは、中国、ベトナム、ネパール、ミャンマー、スリランカとなっています。

新しい方針は7月から適用されるものの、書類の提出期限は3月中旬。入国管理局によってはこれから説明というところもあるようで、混乱は必至のようです。

 新方針は7月入学者から適用されるが、必要書類の提出期限は3月中旬。「この時期の急な方針に現場は混乱し、ベトナムなどでは送り出し機関が対象外の学校を探し回っている」(関係者)という。

入管は厳格化策として、現地金融機関の出入金明細書などを新たに求めた。だが、この種の証明書がない国があるほか、「現在提出が必要な残高証明書も偽造が横行している国もある。新たな書類を求めても、偽造が増えるだけだ」との声も出ている。

「的外れ」現場は反発、留学審査厳格化 新方針「不法」「進学」も同一視 – 西日本新聞

で、急なことで現場が反発するのはわかるけれど、厳格化の方針自体が的外れなのかを調べてみました。

不法滞在者の実数2013~2016

西日本新聞 20170220 西日本新聞 20170220

上の図は西日本新聞に掲載されたものですが、増減がパーセント表示だったので、法務省の過去の報道発表資料より実数を調べました。

法務省:本邦における不法残留者数について(平成28年1月1日現在)

下の表は、各年1月1日現在の不法滞在者の実数と、その増減です。

20132014前年比2015前年比2016前年比
1韓国15,60714,233-1,37413,634-59913,412-222
2中国7,7308,2575278,6473908,74194
3タイ3,5584,3918335,2778865,959682
4フィリピン5,7225,117-6054,991-1265,240249
5ベトナム1,1101,4713612,4539823,8091,356
6台湾4,0473,557-4903,5323,54311
7インドネシア1,0971,0971,2581612,228970
8マレーシア2,1921,819-3731,788-311,763-25
9シンガポール1,3041,079-2251,066-131,055-11
10ブラジル9,88988983-5
11ペルー1143
12スリランカ10841019-65
13その他1851217021-149116373-64816085-288

不法滞在者の増減をみると、ベトナムが1,300人以上と群を抜いて多く、インドネシア、タイ、フィリピンが増えています。

また、絶対数では韓国が多く、次いで中国、タイ、フィリピンと続きます。

中国、ベトナムはいいとして、ネパール、ミャンマー、スリランカは「その他」なのにどうして?という疑問が湧きます。

在留資格別から見る不法滞在2013~2016

こちらは在留資格からみたものです。

1/120132014前年比2015前年比2016前年比
短期滞在43,94341,403-2,54041,090-31342,4781,388
技能実習2,8312,8315,9043,073
日本人の配偶者等4,2913,719-5723,079-6403,433354
留学2,8472,777-702,806293,422616
定住者2,0881,954-1341,889-651,865-24
興行2,4322,224-2080
その他6,4086,9845767,6826985,716-1,966
62,00959,061-2,94859,37731662,8183,441

確かに留学生の不法滞在者が増えてます。対2015年では、1.2倍に伸びている。そりゃ減らしたくはなります。そういう意味で、厳格化は当然なのかもしれません。

短期滞在者の取り締まりは難しい、技能実習生は減らすわけにはいかない。だから減らしやすい留学生への厳格化を言い出した印象があります。

結局のところ

結局のところ、留学審査の厳格化をするのはもっともだけど、なんでネパール、ミャンマー、スリランカなのだろう?という疑問は残ります。

入国管理局が留学生のうち退学・除籍となった人の事情を調査した上で、もっと早く通達したなら、ここまで反発はなかったかもな、という気はします。

留学生から離れて在留資格からみると、技能実習からの不法滞在者が2倍になっています。技能実習生として入国して3年経過。そのまま残った人が多い、ということだろうとは想像がつきます。東京オリンピックまでの人手の解消のためか、ここ2年ほどで技能実習生の人数を大幅に増やしています。

的外れかというとそうでもない。でも、的を射ているかというとそれもまた違う気がする。

今回の留学審査の厳格化は技能実習からの不法残留者が増えているので、そこから目を背けさせるための実績づくりではないか?と勘繰りたくなっています。

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