新型コロナ、発熱4日ルールは本当に誤解、厚労省は4日未満でも相談を促す通知を出している
新型コロナウイルスに感染したかもしれない時の相談の目安である「37.5度以上の熱が4日以上続いた場合」が、4日以上熱が続かなければ相談すべきでないと受け取られていたことが問題となっています。
この件に関して蓮舫議員に予算委員会で問われた加藤厚労相は、いわゆる「4日ルール(37.5度以上の発熱が4日以上続いてから相談)」はもともとないと発言して炎上状態になっています。
これは別に検査を受ける要件ではなくて受診、診療の目安ということでありまして、これについては37.5度を4日、というのはそこ以上超えるんだったら必ず受診をしていただきたい、そういうことで出させて頂きました。
倦怠感等がある、これも中にはそれも4日だ、あるいは37.5度と倦怠感が両方だ、というこういう誤解もありましたから、それはそうではないんだと。
倦怠感があればすぐに連絡をしていただきたい、こういうことは幾度となく周知をさせて頂いております。
さらにまたそうした誤解があれば、そうした誤解を解消していくように努力はしていかなければならないと思いますが~
しかし、これは全然おかしくない発言で、これまでの方針を確認しただけのものとなっています。少なくとも嘘をついているわけではない。
一つ一つ確認していきましょう。
厚労省、新型コロナウイルスに関するQ&Aの記述
厚労省の文言を先入観なしに読むと4日以上待てという意味とは取れませんし、3月22日には症状が出てから4日未満(高齢者などリスクの高い人は2日未満)でも、状況によっては相談をするよう促す通知を出しています(後述)。
37.5度以上の発熱4日以上が相談の目安というのは「誤解」といっていいです。一部報道ではもっと短くても相談するよう促していたという事実もあります。
厚労省の「新型コロナウイルスに関するQ&A」にはこう書かれています。相談する条件として、「 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合」と「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合」を挙げています。
症状がある場合の相談や新型コロナウイルス感染症に対する医療について
問1 熱や咳があります。どうしたらよいでしょうか。
発熱などのかぜ症状がある場合は、仕事や学校を休んでいただき、外出は控えてください。休んでいただくことはご本人のためにもなりますし、感染拡大の防止にもつながる大切な行動です。そのためには、企業、社会全体における理解が必要です。厚生労働省と関係省庁は、従業員の方々が休みやすい環境整備が大切と考え、労使団体や企業にその整備にご協力いただくようお願いしています。
咳などの症状がある方は、咳やくしゃみを手でおさえると、その手で触ったドアノブなど周囲のものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他者に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください。
発熱などのかぜ症状について、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気による場合が圧倒的に多い状況です。風邪やインフルエンザ等の心配があるときには、これまでと同様に、かかりつけ医等にご相談ください。
新型コロナウイルスへの感染のご心配に限っては、最寄りの保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」にお問い合わせください(問3参照)。特に、2月17日に「相談・受診の目安」として公表しました以下の条件に当てはまる方は、同センターにご相談ください。・ 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合※高齢者をはじめ、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など))がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方:
・ 風邪の症状や37.5度以上の発熱が2日程度続く場合
・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
4日ルールの先入観なしに素直に読めば、強いだるさがある時は相談するように促しています。4日未満で相談するなとは書かれていないのです。
「4日ルール」を否定する3月22日通知
厚労省は自治体に対して、4日未満でも受診を促す(ことを求める)通知を令和2年3月 22 日付で出しています。
新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について(厚生労働省)
記
○ 帰国者・接触者相談センターに御相談いただく目安として、「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方」「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方」を挙げていますが、両方の条件がそろわないと相談できないと受け止められているのではないかとの声もあります。これら2条件がともにそろった方ではなく、どちらかの条件にあてはまる方には、帰国者・接触者相談センターまで御相談いただき、帰国者・接触者外来への受診調整を行う等の対応をお願いします。○ また、目安では「風邪の症状や37.5度以上の発熱」のある方については「4日以上」となっているので、「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)」のある方についても、4日以上続くことが必要と受け止められているのではないかとの声もあります。「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)」のある方には、直ちに帰国者・接触者相談センターまで御相談いただき、帰国者・接触者外来への受診調整を行う等の対応をお願いします。
○ 「高齢者」などの重症化しやすい方々については、「2日程度続く場合には、帰国者・接触者相談センターに御相談」としています。これは2日程度続くまで待っていただきたいという趣旨ではないので、たとえ2日程度続いていなくても、相談のあった状況に応じて柔軟な対応をお願いします。
○ なお、「「帰国者・接触者相談センター」における「帰国者・接触者外来」への受診調
整に係る留意事項について」(令和2年3月 13 日各都道府県衛生主管部(局)宛厚生労
働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)でお知らせしたとおり、「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」の運用に際しては、一律に相談の目安を適用するのではなく、その方の状況を踏まえ柔軟に判断し、「帰国者・接触者外来」の連絡先等を伝達いただくなどの運用を行っていただくようお願いします。
この通知では、いわゆる4日ルールを否定しています。むしろ「4日以上続くことが必要と受け止められているのではないかとの声もあります」と懸念したものとなっています。
4日ルールを否定する報道もある
この件は3月24日付け(タイムスタンプは3月31日付け)の報道でも、目安の日数は「待て」という意味でないことがきちんと説明されています。
新型コロナ疑わしい症状、高齢者の受診の目安 「2日程度」は「2日待て」ではない|福井新聞
新型コロナウイルスに関する相談や受診の目安として国は「風邪の症状や37・5度以上の発熱」が一定期間続く場合としている。重症化しやすい高齢者や持病のある人は「2日程度」とされているが、国はこのほど「2日続くまで待てという趣旨ではない」との見解を自治体に通知し、柔軟な対応を求めた。当事者や家族も、日数はあくまで目安と考え、状況を見て判断しよう。
(略)
高齢者ら以外の一般の人は、どうすべきか。「4日以上続く風邪症状や発熱」か「強いだるさ」のどちらか一方があれば基準に該当する。ためらわずに相談しよう。(この記事は3月24日に書かれた記事です)
分かりやすいフロー掲載されています。
「4日ルール」は誰が広めたのか、厚労省の責任?
「4日ルール」はないとする加藤厚生労働大臣の認識は、これまでの厚労省の方針を再確認したもので、矛盾はないと言っていい。
どこかが誤解をばらまいたと考える方がいいです。
コロナ専門家有志の会
たとえば専門家によって運営されている新型コロナウイルス情報提供サイト「コロナ専門家有志の会」のウェブサイトにはこう書かれています。
#感染時に備えよう 体調が悪いときにすること(2020/04/08 23:07版)
体調が悪いときにすること
# うちで治そう
# 4日間はうちで(略)
もし体調が悪いとき、どうすればよいのでしょうか。
もちろん、誰でも出来るだけ早くお医者さんにかかりたい。しかし、行った先の病院などの医療機関でコロナに感染してしまうこともありえます。また、今は皆さんで協力して医療を守っていくことも大事です。
微熱やせき等の風邪の症状がある時、まずはご自宅でしばらく様子をみましょう。ご自宅で安静にして、体の回復を待ちましょう。
持病がない64歳以下の方は、風邪の症状や37.5℃以上の発熱でも4日間はご自宅で、回復を待つようにしてください。
▶高齢者や持病のある方
高齢者や持病のある方は、風邪の症状や37.5℃以上の発熱があるとき2日程度はご自宅で安静にしてください。
(4月27日に改訂版が投稿されています)
4月8日版では、家で治そう、4日間は家で様子を見ることを推奨しています。厚労省の方針が変わったのではなく、「専門家集団」が厚労省の方針を誤解していただけでですよ。
この件は厚労省の周知の努力が足りなかったのは事実ですが、方針は一貫しています。
誤解を与える情報を提供したのは専門家ですよ。責任を問うなら、4日ルールを「熱が4日以上続かなければ相談してはいけない」という認識を広めたメディアや専門家ですよ。
Wikipedia
Wikipediaの「4日ルール」(リンク切れ:http://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=4122007)のページも誤解を招く表現になっています。これは気づいた人が直せという話ですが…
基礎疾患を有しない健康な小児・成人は37.5度以上の発熱が4日以上連続する場合、相談・検査対象となる。
まとめ
PCR検査を円滑に行うための体制づくりや軽症者受け入れ体制を整備する必要はあります。厚労省は何やってるの?とは思います。
発熱が4日未満で相談しても様子を見るよう言われる人もいます。数日間様子をみるのは、一般の風邪との区別のためという合理的な理由もありますが、受け入れを絞っているのも事実でしょう。
しかし37.5℃以上の発熱の症状が出て4日以上経過しないと相談すべきではないというルールなどなく、厚労省は誤解をなくすための通知を出していたのも事実です。
ディスカッション
コメント一覧
>2月17日に「相談・受診の目安」として公表しました以下の条件に当てはまる方は、同センターにご相談ください。
>・ 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
>・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
基準を明示する文書で条件を箇条書きにしておいて「いずれかの条件に当てはまる方」と書かなかったのは厚労省の大失態ですよ。特に誤解が広まっていると認識しているならば、すぐに訂正すべきでした。
さらに言えば、専門家でも誤解するような悪文だと言うことです。
通りすがりさん
おっしゃる通りだと思いますよ。同感なのです。
しかし厚労相の答弁は嘘というわけではいですよね。方針は妥当であったわけですから、批判すべきは「悪文」であることや、誤解を解ききれなかったことです。
その辺をきちんと分けないと空回りしてしまうので、こうして検証してるんです。
「4日具合が悪かったら相談・受診を」という文章は
「検査を受けたくても、少なくとも4日は様子を見るように」と
「すぐに検査を受けて欲しいが、そうしたくない人でも4日具合が悪いのが続くようならば、ぜひとも検査を受けて欲しい」の
二通りに解釈することができる。これはたまたまではなくて意図的にそうしたのだろう。「なぜ誤解に気づかずに放置したのか?」ではない、検査数を抑えるために、そのような通達を誤解を招く意図を持って広めて、後から責任を追及されたら「そういう意味じゃなかったんですけどそう取られてしまった」と責任を転嫁する。ここまでが計画通りだと思う。
いや?①倦怠感のある場合に、発熱4日と併用するな、②倦怠感は4日ルールでない、とは明示されてるけど、③倦怠感はないが発熱はある人は?やはり4日ルールでしょ?
「目安」か、「基準」か。これで厚労省は切り抜けようとしている。姑息だ。こんなもの言葉のニュアンス。ニュアンスで仕事するな。
「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方」
「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方」
これら2条件がともにそろった方ではなく、どちらかの条件にあてはまる方には、帰国者・接触者相談センターまで御相談いただき、帰国者・接触者外来への受診調整を行う等の対応をお願いします。
つまり「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)」がなく、「風邪の症状や37.5度以上の発熱」が4日経っていない場合は相談の対象外と読める。誤解でも何でもない。
4日とか出さずに、「風邪の症状や37.5度以上の発熱がある方」と「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方」は直ちにご相談下さい、と言えば済む話。
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