知人が悪質な光コラボ勧誘にひっかかったけど、戻してもらえたらしい

2018年10月8日雑学、雑感

知人が悪質な光コラボ勧誘にひっかかったそうです。

おかしなことに気がついたのは、コラボ業者の回線が開通する直前。そこまで処理が進むとふつうは戻せないそうです。

しかし消費生活センターに相談しまくったら、契約情報を元の状態に戻してもらえたとのこと。工事費や戻す費用は一切請求されずに済んだため、かかった費用は内容証明3通分の料金と生活センターへの相談の時間のみ。

どう考えても契約書を書き換えていた悪質さなので一般的な事例ではないかもしれませんが、役に立つ人もいるかもしれないので詳しく書いておきます。

悪質業者がはびこる光コラボとは?

光コラボは光コラボレーションの略。はNTTの光回線ネットワーク借りた事業者がインターネット接続サービスを提供する枠組み…と言っても分かりにくいですか。

NTTのフレッツ光でインターネットを使っている人は、NTTの光回線料金とインターネット接続料金(ISP利用料)の2つの料金を支払っています。

  • 電話料金を含む光回線利用料の支払先はNTT
  • インターネット接続料金はOCNなりビッグローブなりといったインターネット接続サービス事業者(ISP)に支払う

このような従来のネット接続サービスに対し、光コラボは光回線そのものをNTTから借り受け、光回線・ひかり電話・インターネット接続サービスを一つのサービスとして提供する枠組みです。

光コラボと転用

光コラボは、光回線+電話とインターネット接続サービスを一体化して提供する枠組みです。光コラボ事業者と契約すると回線はNTTのフレッツ光から事業者に移管され、回線料金も光コラボ事業者から請求されるようになります。

NTTから光コラボ事業者に回線契約も含めてそのまま移管することを「回線の転用」と言います。NTT⇒光コラボ事業者への回線転用手続きが行われると、利用者は光コラボ事業者の光回線サービスを受けることになります。その際NTTのフレッツ光の契約は解除されるため、再度NTTに戻るには新規契約扱いとなります。

光コラボの枠組みを利用すると、光回線+電話とネット接続の契約が一つになります。引っ越しなどで変更手続きが必要になったとき、光コラボ事業者にだけ連絡すればいいのでわずわらしさが少なくなります。NTTとISPで別々に付与されていたポイントも一元化できるので、ポイントを貯めやすくなるメリットもありま

光コラボ提供事業者にとっては、プロバイダだけでなく回線も含めた一貫したサービスを提供できる上に、囲い込みにもつながる都合がいい仕組みです。

従来のインターネット接続サービスだけだと簡単に乗り換えられてしまいますが、光コラボは回線とセットであるため他のサービスに移りにくいのです。

一種の囲い込みのため、利用者は他のサービスに変えにくくなるというデメリットはあります。しかし光コラボ自体は便利な仕組みで、So-netやビッグローブなど大手で信頼ある事業者が提供しています。

光コラボそのものは利用するメリットはあるのですが…なかには嘘をついて、あるいは誤解させて契約を取ろうとする代理店があります。

これがあまりにも酷いため、2016年5月から初期契約解除などの消費者保護の仕組みが導入されました。

消費者保護が強化されたために、トラブルは減ったかと思いきや。2018年11月現在も悪質な勧誘は後を絶たず、知り合いがひっかかったというわけです。

経緯についてはあとにして、まずは消費者保護の仕組みと相談窓口を記載しておきます。

電気通信サービスに関する消費者保護の枠組み

2016年5月21日に施行された「初期契約解除」は、名前のとおり初期段階での契約解除ができる制度です。契約書を受け取ってから8日の間は、電気通信サービスにつきものの「途中解約による違約金」は発生せず、消費者の側から一方的に解除できます。

クーリングオフ制度に似ていますが、やや異なるところもあります。初期契約解除期間中ならば指定期間中の解除による違約金は生じませんが、定められた範囲で工事費用や解約事務手数料などは請求されることがあります。

かつては初期契約解除の制度がなかったために、怪しさを感じて解約すると違約金が発生するケースがあったようです。それが現在では違約金を支払う必要がなくなり、多くても工事費と手数料のみで解約できるようになっています。

 

初期契約解除の概要

電気通信サービスの初期契約解除は、契約書面の受領日を初日とする8日間が経過するまでは、電気通信事業者の合意は必要なく、利用者が一方的に契約を解除できる制度です。

「電気通信サービスの契約が成立したときは、遅滞なく、契約の内容を明らかにする書面(契約書面)を利用者に交付すること」が事業者に義務付けられています。

電話での口頭契約であっても、送られてきた書面で確認した上で契約を解除できる仕組みになっています(000422692.pdf

契約解除にともなう手数料

初期契約解除制度によって契約の解除をした場合、契約解除までに利用したサービスの利用料、契約解除までに行われた工事の費用、事務手数料は契約に基づき支払う必要がありますが、それ以外の違約金等は契約に定められていても支払う必要がありません。また、このうち工事費用と事務手数料については、法令で定められた上限額までしか支払う必要がありません。

それぞれの額は税抜き表示。消費税も請求されることもあります。

① FTTHアクセスサービス
(ア)戸建て住宅に人員を派遣して行う工事 25,000 円
(イ)集合住宅等に人員を派遣して行う工事 23,000 円
(ウ)その他人員を派遣しない工事 2,000 円
※ 土日・休日の場合は 3,000 円、夜間・深夜の場合は 10,200 円を加算可能
(人員無派遣の場合は加算不可)

② CATVアクセスサービス
(ア)戸建て住宅に人員を派遣して行う工事 18,000 円
(イ)集合住宅等に人員を派遣して行う工事 17,000 円
(ウ)その他人員無派遣の工事 2,000 円

事務手数料
事務手数料 3,000円

サービス利用料
契約解除までの間に利用したサービスについては、日割り計算。

 

初期契約解除の方法

初期契約解除したいときは、はがきなどで解約の書面を事業者に送るだけです。

本来はそれで終わるのですが、悪質なところなら届いていないふりをするかもしれません。有名どころでなければ配達証明で送るほうが確実です。

本来は必要ない310円を余分に払うのは納得いきませんが、安心料として考えれば安いものでしょう。

初期契約解除で気をつけること

初期契約解除は「契約書面の受領日」を初日とする8日間までの間なら無条件に行えます。この8日間は、書面を受け取った日を1日目と数えます。翌日からではないので注意が必要です。

また、既成事実化して泣き寝入りを狙うつもりなのか、契約書をサービス開始前(転用日)までに送らないケースもあるようです。回線が開通して利用すればそこが起点となるため、契約書を確認させずに初期契約解除の日程を稼げると考えているのかもしれません(違約金は発生しなくても工事費用は請求されます。転用後ではNTTに戻ろうにも新規契約になるため、解約しないほうが割安に感じられる心理も利用していそう)。

 

悪質な勧誘にひっかかった時の相談先

光コラボの勧誘にはじまり、契約書の内容に少しでも疑問が生じたら、すぐに光コラボ事業者に連絡して確認してください。少しでも怪しさを感じたら消費者センターに相談するほうがいいと思います。

とりあえずの対処としては、NTTのフレッツ光窓口に連絡して、「転用承諾番号」を変えて貰う方法があります。

光コラボ事業者はNTTのフレッツ光の「転用承諾番号」を利用して転用手続きを行うため、番号そのものをNTTの側で変えてもらえば手続きが進まなくなります。転用手続きが始まっていると変更できないため、この方法は使えません。

 

消費者センターに相談するにせよそうでないにせよ、勧誘の電話のあった日時と契約日、契約書を受け取った日付、契約書に記載された契約日と開始日などはまとめて一覧にしておきます。

先述したように初期契約解除の8日間は契約の書面を受け取った日が1日目となります。契約書の日付と到着日が開いている場合は注意したほうがいいです。

消費者センター

時間が許すならば自治体の消費生活センターに赴いて、契約書などを直接見せて説明するほうが早くて確実です。

188をダイヤルすると地元の自治体の消費者センターに転送されます。土日で地元の消費者センターが休みのときは国民生活センターにつながるので、年末年始以外なら週末も相談できます。

消費者センターではアドバイスをもらえたり、場合によっては電話をかけて問い合わせてくれることもあります。仲介や調停などはしてもらえませんが、記録もしてくれるので頼もしい存在です。

消費者ホットライン|消費者庁

総務省電気通信消費者相談センター(電話のみ)

消費者センターに行く時間がない場合は、総務省の消費者相談センターを利用する方法もあります。

電気通信消費者相談センターの相談は対面はなく、電話でのみ受け付けています。電気通信サービスの利用者を対象とした相談窓口なので、光コラボの相談ならスムーズに進むかもしれません。

ただし消費生活センター同様、仲介や調停などは行われません。

各地域の総合通信局でも相談にはのってもらえるので、都合に合わせて相談できます。

総務省|電気通信消費者情報コーナー|電気通信消費者相談センターとは

総務省では直接の相談のほか、ウェブからの情報提供も受け付けています。こちらは相談窓口ではないため個別での返信は保証されませんが、受けた被害について報告しておくといいかもしれません。

電気通信サービスに関する情報受付フォーム

 

知人の経験した契約から解除までの道のり

高齢者と言うと怒るくらいの年齢の知人が遭遇した悪質な勧誘事例です。一部をぼかしていますが、典型的な悪質な業者のようでした。

契約前

  • これまでにかかってきた光コラボの勧誘電話には「NTTの以外からの電話は受けない」と断っていたが、NTT西日本の〇〇と名乗ったために話をきいた
  • NTTのフレッツサービスはもうじき終わり、NTTの子会社が引きつぐ
  • 現在利用中のプランを把握しており、うちの関連会社のサービスならそれよりは安くなると説明
  • ウェブサイトにアクセスを促し、転用承諾番号を読み上げさせる

ここまではよくあるパターン。

契約時から解約・元に戻してもらうまで

最終確認の電話ではすぐに契約書類を送ると言ったのに数日しても送られてこないので問い合わせると、手違いとか言って送ってきた。しかし説明された料金とは異なっていたので問い合わせると、どうも以前より高くなるプランにされていたことが発覚。

ここでおかしいことに気づいてキャンセルを伝えたそうです。初期契約解除には応じたものの、手数料などは発生することを伝えられる。

契約自体がでたらめなのだから元に戻せと問い詰めても、転用手続きは始まっていることを理由にできないという。その他にも契約書にいくつか不審なことがあったため初期契約解除ではなく、契約そのものが無効と考える。

NTTのフレッツの相談番号に電話をすると、転用承諾番号を書き換えを試してはもらえたものの、すでに手続きが始まっており変更できないとのこと(手続きが始まる前なら阻止できる)。

「光コラボ転用後は元には戻せない」のが原則なので、もしNTTのフレッツ光に戻すなら新規契約となってしまうと伝えられる。

納得がいかないので消費者センターに相談すると、電話をして確認を取ってもらえた。契約自体がおかしいことを理由に工事手数料も求めないと言うが、元の状態に戻すことは無理という。

この状態でNTTに回線を戻しても新規契約になるため無駄な出費が発生するところだったが、何度もNTTに問い合わせていたおかげか、元の状態に戻してもらうことができた。

——

ということでした。筆者がその話を聞いて調べたところ、条件次第ではNTT⇒光コラボ転用後でも、元の状態に戻してもらえるようです。実際、以前と同じ料金で同じように使えているそうです。

参考 すでに契約してしまった光コラボをフレッツ光に戻す方法。|携帯はやっぱりdocomo!

「転用承諾番号」を自分で伝えた場合は戻してもらえないことも多いようです。知人は説明を受けたプランとは違う契約をされていたため対応してもらえたのかもしれません。むしろ説明と違っていたから戻せたとも言えそうです。

付録:光コラボ勧誘電話をかかってこなくする方法

光コラボの勧誘は光コラボ事業者の委託している代理店によるもの。NTTに「勧誘停止登録」をしてもらうと、勧誘電話をかかってこなくなります。

勧誘停止登録窓口に電話をして、勧誘停止登録の意思を伝えると手続きをしてくれます。

NTT東日本

フレッツ光サービス等の勧誘停止登録の受付について

NTT西日本
お問い合わせ|NTT西日本

 

怪しいと感じたらためらわずに相談窓口に

ちょっとでもおかしいと思ったら、迷わず相談するのが吉ですね。

いきなり役所や生活センターに相談するのが不安なら、身近な詳しい人にまず話してみるのがいいです。恥ずかしいと思ってしまう人もいますが、気にしなくて大丈夫です。

悪質な業者は心理的なテクニックを使ってくるので、疲れていたりしたら誰でもひっかかりかねませんから。