主原料がブドウ糖の「森永ラムネ」で仕事の効率が上がるって本当?
森永ラムネが仕事の効率アップにつながるとして、ビジネスパーソンの間で密かにブームになっているそうです。
これまで意識していませんでしたが、言われてみれば、あのボトルを取り出して食べてる人を、ところどころで目にしていました。
中にビー玉の入っている飲み物のラムネではなく、タブレットのラムネ菓子です。ラムネキャンディとも呼ばれる錠菓の方です。
なぜ「ラムネ菓子」でなく「森永ラムネ」なのか、森永ラムネのなにが仕事の効率アップにつながるのでしょうか。
その答えは森永ラムネの原材料、ブドウ糖(グルコース)にあります。
原材料
[ 1本(29g)当り ] 熱量:108kcal:
ぶどう糖、タピオカでん粉、ミルクカルシウム/酸味料、乳化剤、香料、(一部に乳成分・ゼラチンを含む)
たんぱく質:0g:
脂質:0.3g:
炭水化物:26.2g:
食塩相当量:0g:
森永のラムネは甘味料に砂糖ではなくブドウ糖を使っており、パッケージには原料の90%がブドウ糖と書かれています。
体のエネルギー源であるブドウ糖は24時間休むことなく脳で消費され、そのエネルギー量は基礎代謝の20%に及びます。
プロの棋士が対局中にブドウ糖を口にしているのも、頭を使って体力を消耗したエネルギーを補給するためと言われています。
脳で大量に消費するブドウ糖をそのままの形で摂ることで効率よく脳にエネルギーを補給する。
すると脳がリフレッシュして仕事の効率化につながる。
そう考えるビジネスパーソンが増えたことが売上の増加につながっているようです。
なぜ一般的なラムネでなく「森永ラムネ」なのか
ラムネ菓子(錠菓)は多数のお菓子メーカーから発売されていて、聞き覚えのある代表的なものだけでも5,6種類はあります。
カクダイ製菓 クッピーラムネ
砂糖、コーンスターチ(遺伝子組換えでない)、ばれいしょでん粉(遺伝子組換えでない)、デキストリン、酸味料(クエン酸)、香料、アナトー色素、ブドウ果汁色素
ロッテ ポケモンラムネ/きかんしゃトーマスとなかまたちラムネ
オリオン ミニシリーズ
どれも子供の頃に見たことがあるパッケージですね。
小さい頃はクッピーラムネこそがラムネ!と思っていました。
数あるラムネ菓子の中で森永ラムネが支持される理由
どれもラムネなのに、なぜ「森永ラムネ」というメーカー指定なのかというと。
一般的なラムネでは、甘味料として砂糖が用いられているためです。
「甘味」の度合いは
果糖(フルクトース)>砂糖>ブドウ糖(グルコース)
の順です。
甘さを出したいお菓子なら砂糖や果糖を使うほうが都合がいい。
はっきりした甘みを出したいお菓子に、ブドウ糖が主に使われることは多くはありません(温度や使い方によって甘味は変わる)。
一方の森永ラムネの成分の90%はブドウ糖となっています。
つまり森永のラムネは甘みの弱いブドウ糖を主原料としていることが、ブドウ糖補給をしたいビジネスパーソンの需要に合ったということです。
「森永ラムネ」がブレイクの予感 口コミで広がるビジネスパーソンの仕事能率アップ!?
実際の出荷量としても平成27、28年度と2年続けて前年比2割増で推移し、29年度も同様の伸びが期待されている。マーケティングリサーチ会社のインテージによると、24~28年の性別年代別の購入率は20~40代の各世代の男女でいずれも増加傾向にある。とくに男女ともに働き盛りの40代の割合が拡大している。
実際に働き盛りのビジネスパーソンの間で売れていることが産経新聞で報じられています。
ブドウ糖で本当に仕事が効率化する?
ブドウ糖を食べると本当に仕事を効率化できるのか?
その問いに答えるだけの科学的根拠は今のところありません。
疲れた時に甘いものがほしくなる。
これは誰しも経験があることですが、頭を使えば使うほど脳が使うエネルギーが増えるというものではありません。
脳の基礎代謝は全体の18%から20%ほどなのでエネルギー消費量は大きい。
しかし頭を働かせたからといって、消費エネルギーが極端に増えるわけでもない。
頭を使えば使うほどエネルギーも必要になるなら、「脳力活性ダイエット」なるものが大流行しているはずです。
脳の栄養源はブドウ糖だけ
筋肉や内臓ではぶどう糖だけでなく脂肪など他の物質もエネルギーとして利用されますが、脳が使えるのはブドウ糖とケトン体の2種類だけ。
ケトン体というのはブドウ糖がなくなった「飢餓状態」の時に生成される物質です。
血液中のブドウ糖が足りなくても、通常はアミノ酸から作られ供給されます。そのため普通に生活していてケトン体が生成されることはまずありません。
つまり脳が日常的に使うエネルギー源はブドウ糖だけと言っていいでしょう。
「疲れた時にブドウ糖がほしくなるのは脳のエネルギー源がなくなるから」
こう考えがちですが、そうとは限りません。
甘いものはエネルギーとして使いやすいため、体全体の疲れによって甘いものが欲しくなっているのかもしれないためです。
甘いものを欲しがっているのが「脳」なのか「体」なのかは分かりませんよね。
ブドウ糖が確実に効果があること
エネルギー源である砂糖をはじめとする炭水化物は体内で直接吸収されるわけではなく、糖に変換されてから取り込まれます。
ブドウ糖以外の炭水化物は吸収のために分解する必要があるため手間(時間)がかかります。
それに対しブドウ糖はそのままの状態で吸収されるため、非常に効率よく血糖値を上げることができます。
血糖値は血液中のブドウ糖(グルコース)の量のこと。
ブドウ糖をブドウ糖の状態で摂取すると、低血糖状態からすみやかに回復できるというわけ。
具体的にどう使われている?
映画やドラマで、昏睡状態に陥った糖尿病の患者にキャンディーやジュース(甘い飲み物)を与えてるシーンを見ることがあります。
糖尿病の治療を受けているのに食事を抜いてしまったり、薬が効きすぎて低血糖状態になった患者へのブドウ糖補給のために、甘いものを利用しているのです。
森永ラムネがあるならそちらを患者に与えているはずです。
糖尿病患者の低血糖状態とラムネについては、埼玉医科大学高度救命救急センターのサイトに掲載されているコラムでも触れられています。
だがもしこの武田製薬謹製のブドウ糖の錠剤パックが手元に無いときはどうする?うっかり携帯し忘れたときは?
・・・・ということで、察しの良い皆様はお気づき事と思うが、そんなときラムネのお菓子が有用ではないかと気づいたわけだ。ラムネのお菓子は、たいていのスーパーやコンビニでも売っていているし安価だ。(ただしブドウ糖が主成分でないラムネのお菓子もあるらしいので、購入時は成分を確かめてくださいね)。おまけに容器がお洒落(笑)で、保存にも持ち運びにも便利だから、携帯用に一本持っていてもいいかもしれない。ちなみに計算すると、森永のラムネのお菓子だと、8粒でブドウ糖約5gに相当するようだ。
低血糖状態からの回復に優れた効果
酒を飲んだあとのブドウ糖摂取も効果があります。これも下がった血糖値を戻す効果によるものです。
酒を飲むと血糖値が下がる理由は先にも紹介した埼玉医大のブログにかかれています。
基本的な機序としては、『エタノールは、肝臓においてアセトアルデヒドを経て酢酸に酸化され,最終的にはアセチル–CoAとなるが,その過程で肝ミトコンドリアの電子伝達系でNAD(nicotinamide adenine dinucleotide)がNADHに還元される。その結果、アルコール摂取により肝ミトコンドリアには大量のNADHが蓄積し、NADH/NAD比が高まる。
このNADH/NAD比が上昇すると、糖新生やTCA回路が抑制される』ことらしい。簡単に言うと、「肝臓が大量のエタノールを処理していると、肝臓からの糖新生(=ブドウ糖の産生)が抑制される』ということのようだ。
体内ではブドウ糖濃度(血糖値)が高ければ下げ、低ければ上げることで血糖値が一定の範囲に保たれています。
血糖値が上がるとインスリンが分泌され、脂肪やグリコーゲンに変換する割合を高めて血糖値を下げます。
逆に血糖値が低くなったらアミノ酸などからブドウ糖をつくって血糖値を上げます。
通常は生成と分解のバランスが取れていますが、酒を飲むと肝臓のブドウ糖の生産能力が下がり、結果として低血糖状態になります。
「低血糖なら糖を補給したらいいじゃない」
マリー・アントワネットような言い草ですが、ようするにブドウ糖不足で体調が悪くなったなら、足りない分のブドウ糖を補給して通常の血糖値に戻せれば体調も戻るというわけです。
酒を飲むと炭水化物の塊のラーメンを食べたくなるのは、「ブドウ糖が欲しい」と身体が訴えているのかもしれません。
こういう時にラーメンの代わりに森永ラムネを活用すれば、脂質やカロリーを控えることができますね。
ブドウ糖が仕事の効率アップに繋がるのかは、まだわからない
「集中して疲れた」という時、血糖値が下がったのが原因なら、森永のラムネを食べるのは効果があることでしょう。
ブドウ糖は満腹感をもたらすわりにカロリーは低めなので、砂糖や果糖を摂るよりは太りにくいでしょう。
しかし疲れたのが脳だけでなく身体全体なら、ブドウ糖だけ補給するのはバランスが悪い。
空腹時にブドウ糖だけを摂取すると、吸収効率がいいだけに血糖値が急激に上がります。
少量であれば問題がないとしても、急激な血糖値の変動が繰り返されるとインスリン耐性がついたり、血管が傷つけられて糖尿病にもつながりかねません。
ブドウ糖を摂れば頭がすっきりするかもしれませんが、摂取量には気を付けたほうがよいでしょうね。
このあたりの研究を行うと発表されていたので、いずれはっきりすることでしょう。
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