セロトニン 精神の安定に必要な神経伝達物質

2017年2月1日雑学、雑感

セロトニンはドーパミン・ノルアドレナリンと並ぶ脳内神経伝達物質。

セロトニンは神経伝達物質として重要な働きを負うほか、消化器や睡眠周期といった生理機能のためのホルモンとして機能します。

脳内のセロトニンは、快楽やポジティブな感情に関わるドーパミン、負の感情や闘争心に影響を及ぼすノルアドレナリンを抑える役割があり、精神の安定に影響を及ぼします。

セロトニンの量が少ないと、精神が不安定になり鬱になったり、そうでなくてもふさぎ込んだりしがちになります。鬱の治療薬のSSRI(セロトニン選択的再取り込み阻害薬)とSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は、シナプス間に存在するセロトニンの濃度を上げることを期待して用いられます。

 

脳内のセロトニンの影響

セロトニンが少ない

セロトニンが不足すると、寝付きが悪い、ぐっすり眠れない、落ち着かない、集中力が続かないという症状が現れます。

他にも怒りっぽくなったり、やる気が起きなくなったりといったこともセロトニン不足によってひき起こされます。

睡眠への影響は、メラトニンとも関わりがあります。メラトニンはセロトニンを元に作られるため、セロトニンが不足すればメラトニンの生成も減ることになります。

 

セロトニンが不足すると鬱になりやすいと考えられています。確かに鬱の症状とセロトニン不足の影響は合致します。そのため、うつ病患者には脳内のセロトニンの濃度を上げるため、セロトニン吸収を阻害する薬を処方されることがあります。

セロトニンは、セロトニン受容体というところにたどり着いてはじめて効果があります。しかし、神経間に存在するセロトニンは、セロトニンを放出する部位に再び吸収されることがあります。するとセロトニン濃度が下がってしまいます。

セロトニン受容体と結びつくはずのものが、放出のために再び利用されてしまうと濃度が下がる。なら吸収されないようにして、濃度を維持すればいいじゃない、というのがSSRIとSNRIという治療薬です。

 

タバコのニコチンの影響

タバコに含まれるニコチンは、セロトニン受容体に影響します。いわばニコチンがセロトニンの代わりとなってしまうため、身体は十分なセロトニンがあると判断します。喫煙が習慣になると、セロトニンが十分ある状態だと身体が判断して、セロトニンの生成を抑えてしまいます。

禁煙するとイライラするのは、セロトニンが体内で作られなくなったのに、ニコチンという外部からの供給が絶たれることが原因です。一定時間が経過すれば再び十分な量のセロトニンを作るようになりますが、それまではセロトニン不足となってしまうため、離脱症状としてセロトニン不足による身体への影響が現れるわけです。

タバコの身体的依存は弱いと言われています。実際、幻覚をみたり、暴れまわったりといったことはまずありません。しかし、身体依存は間違いなくあるため、軽い重いの違いはあれど、離脱の辛さはあります。

 

セロトニンが多い

脳内セロトニンが多すぎるとセロトニン症候群という症状が現れます。

体温上昇や発汗といった自律神経に関わる症状や、頭痛や混乱といった精神面に影響します。

鬱などの治療薬SSRI/SNRIの過剰摂取や他の薬との併用による影響で生じるため、普通は生じせん。

 

脳内のセロトニンを増やす方法

身体的方法

 

陽の光に当たる

冬季うつ病は、日照時間の長い地域にいくと改善することがあるようです。

運動

リズムを伴った運動をするとセロトニンが増えることが分かっています。運動といっても負荷は必要なく、一定以上の歩行でも増えるようです。変わったところではガムを噛むのもセロトニンが増えやすくなるとのこと。禁煙した人がガムを噛むのは理にかなっているわけです。

 

ストレス

ストレスを抱えているとセロトニンが作られるのが抑えられてしまいます。慢性的にストレスにさらされると、身体への影響が現れることになります。

 

食生活

セロトニンは脳内では脳幹の縫線核で、9つある必須アミノ酸の一つ、トリプトファンから生成されます。必須アミノ酸なので体内では作り出せない。つまり、トリプトファンを摂ることでセロトニンは増やせる(可能性が高い)ということです。

トリプトファンはタンパク質に含まれており、豆類、魚、肉、種、加工された乳製品に多く含まれます。種ということで、玄米もトリプトファンを含んでいるため、鬱にいいと言われる理由になっているようです(精米してないのや、3分づきみたいなの)。

 

このページの参照元:セロトニンDoJo(セロトニンの生理作用)

 

行き着く先は健康的な生活とバランスのいい食事

セロトニンを意識しようがしまいが、健康的な生活には、結局のところ体を動かして陽に当たる、そしてバランスのいい食事に行きつきます。

 

ちなみにセロトニンの血中濃度は血液検査で調べられますが、脳内のものは別で作られているため血液検査では測れません。ただ、血中濃度と脳内のセロトニンの量にはある程度相関関係にあるようなので、専門医なら判別できるかもしれません。

脳内のセロトニンの量を知りたいという目的で検査ができるかもわかりません。心療系のクリニックで相談したらできるのかな?