「間違いやすい」と「間違えやすい」 どちらも正しいけれど説明が難しい

2016年11月7日雑学、雑感

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「間違やすい」と「間違やすい」

どちらも間違いではないのですが、「どっちが正しいの?」と人に訊かれた時にうまい説明が思い浮かびませんでした。

自動詞と他動詞の使い方の違いで説明しているのを読んだことがあるのですが、どちらも目的語がはっきりしない文脈で使えるので収まりが悪いのです。

結論から書いてしまうと、文法的にはどちらもOK。意味の違いで使い分けるのが正解のようです。

 

「間違う」と「間違える」

語幹の基本型「間違う」と「間違える」の語義から考えるほうが、両者の違いが分かリやすくなります。

意味の違いと使い分けは「NHK放送文化研究所」の解説が分かりやすかったです。。

間違う

「正しい状態・正しいことがある時」から外れた時に使う。正しい状態を想定している時に用いられます。

例:行き先を間違う、答えを間違う

 

間違える

「取り違える」の意味。複数ある中から「選んだもの」が間違っていたといったニュアンス。

例:(自分の傘と他人の)傘を間違えた、答えを間違う

 

「間違う」と「間違える」は、どちらでも使えるケースが多い

「取り違え」をしてしまい、「正しい状態」でなくなることはママあります。先に挙げた「答えを間違う」なんかはその例ですね。

こういう時はどちらの意味でも使えます。

何かの試験を受けたときに、「あるべき正解から外れた」という意味では「答えを間違った」ですし、「正解はAであるのにBと書いてしまった」という意味では「答えを間違えた」ということになります。多くの場合には両方とも使えることが多いのですが、とらえ方が違うのです。

なお名詞の形になると、どんな場合でも「間違え」より「間違い」のほうが多く使われるようです(例「[間違い/間違え]を見つけた」)。

間違う? 間違える? | NHK放送文化研究所

 

文法的説明「間違いやすい」は、ワ(ア)行五段活用

「間違いやすい」の「間違う」は、「笑う」と同じワ(ア)行五段活用です。

「わ・い・う・う・え・え・わお」と暗記した記憶があります。

基本形活用形
語幹未然形連用形終止形連体形仮定形命令形
ワア行笑(わら)うわ・おい・っ

五段活用 – Wikipedia

「間違いやすい」は、「間違う」の連用形「間違い」に、「やすい」がついたもの。

 

文法的説明「間違えやすい」は、ア行下一段活用

「間違えやすい」の「間違える」は、ア行下一段活用です。

「え、え、える、える、えれ、えろ」(エロー!)と、教室が騒がしかった記憶が。

基本形活用形
語幹未然形連用形終止形連体形仮定形命令形
ア行見(み)える-え-え-える-える-えれ-えろ・-えよ

下一段活用 – Wikipedia

「間違えやすい」は、「間違える」の連用形「間違え」に「やすい」がついたもの。

文法的にはどちらも正しい。つまり間違った使い方をしたくないなら、意味・ニュアンスの使い分けを考えればいいということです。