天国に酒はない!生きているうちに飲め!の格言の由来

2017年12月31日雑学、雑感

「天国に酒はない!! 生きているうちに飲め!!」という格言がネットで話題となっています。

この格言、お店のブラックボードに書かれたもののようで、出典は「ベルギートラピスト会修道院の格言」となっています。

「酒は死んでからでは楽しめない、生きているうちに飲んでなんぼ」と修道会がお墨付きを与えてくれたのだから、酒好きにはまさに福音。大いに受け入れられていました。

しかしこの言葉、ほんとうに修道会に書かれていたのでしょうか?
源流をたどってみましょう。

英語圏では “In Heaven There Is No Beer" 「天国にビールはない」

英語圏では “In Heaven There Is No Beer" は楽曲として知られています。

英語バージョンの曲は、1984年の同名の映画にインスパイアされたDJ・ラジオパーソナリティーの Dr. Demento によって作曲されました。

歌詞はというと「天国にビールはないから生きているうちに飲むんだ」というそのままの意味。

英語版歌詞

In heaven there is no beer.
That’s why we drink it here (Right Here!)
and when we’re gone from here,
our friends will be drinking all the beer!

(天国に酒はない だからここ(この世)で飲むんだ 俺たちがここ(この世)から去ったあとは、みんなが全部飲むだろうさ)

 

オリジナルはドイツの歌 “Im Himmel gibt’s kein Bier"

オリジナルはドイツの楽曲"Im Himmel gibt’s kein Bier"。

ドイツ語版歌詞

Im Himmel gibt’s kein Bier,
Drum trinken wir es hier.
Denn sind wir nicht mehr hier,
Dann trinken die andern unser Bier.

(Google 翻訳)
天国にはビールはありませんが、 だから私たちはここでそれを飲むのです。 私たちはもうここにいないので、 その後、他の人たちがビールを飲む。

 DennとDannの訳の問題で、意味的には英語と同じでしょう(2年間学んだのに、今ひとつ自信なしの乏しいドイツ語の知識に基づく、)。

語源は不明、源流はポルカ(チェコの民俗舞曲)

“Im Himmel gibt’s kein Bier" の元はチェコの民族舞踊、ポルカです。が、その元ネタははっきりしないようです。

調べてみても「修道院の食堂への出入り口に書かれていた」となっていますが、はっきりしておらず、Wikipediaでも要出典となっています。

The Polka may have origins in the inscription over the doorway to the dining hall of a German or Austrian monastery.

(楽曲の元となった)ポルカはおそらく、ドイツかオーストリアの修道院の食堂への出入り口にかかれていたの言葉が源流だろう

Wikipedia

中欧ののんべが正当化するために言いだした可能性もなきにしもあらずw

キリスト教での飲酒の扱いは?

キリスト教の飲酒への戒めはさまざまです。

プロテスタントでは宗派によっては禁止、カトリックではとくに禁じられていません。

カトリックでは聖体拝領ではパンにワイン(普通のものとは異なる)をつけて頂きますし、そもそも聖書ではキリストが水をワインに変えて飲ませています。今とは醸造工程も度数も違うとはいえアルコールはアルコール。

水が飲めない地域ではワインやビールは水の代わりになっていました。冒頭の格言で出てくるトラピスト修道会は、現代でもトラピストビールを醸造しています。

トラピストビール – Wikipedia

天国に酒がないなら、下戸にとって天国は天国かも

語源はよくわからないながらも欧米ではわりと知られた言葉で、酒好きにとっての福音となっています。

しかし酒が飲めない・酒のネタについていけない下戸にとって、天国に酒がなければ文字通りの天国と言えるかもしれません。