活性酸素はどうやって無毒化されるのか?中和の仕組みと活性酸素を減らす方法

2017年2月5日健康

殺菌力が強いために、細菌やウイルスから体を守ることにも使われている活性酸素。免疫機構として働くため、私たちの体には必須の存在です。

その一方で老化の原因になったり、万病の元と見られているため、大変な嫌われ者でもあります。

人間の体には活性酸素を体内で無毒化(中和)する酵素があるため、適量ならば問題はないのですが、多すぎると、タンパク質や脂質、核酸、糖質を酸化させることで病気の原因になったり、病気を進行させてしまいます。

 

活性酸素の発生源と種類

活性酸素は呼吸をして肺から取り込んだ酸素から作られています。体に取り込んだ酸素は血液によって体中に送られ、必要なところに送り込まれた酸素は、細胞内のミトコンドリアで消費されます。その際に使った酸素の1~3%程度が活性酸素になると考えられています。ミトコンドリアによって体内で発生する活性酸素は3つの形で存在します。

  1. 過酸化酸素(スーパーオキシド)
  2. 過酸化水素
  3. ヒドロキシルラジカル

それぞれが別々に発生するのではなく、最初は①の過酸化酸素(スーパーオキシド)が生成されます。スーパーオキシドが他の物質と反応すると②の過酸化水素になり、さらに反応して③の過酸化水素になります。ヒドロキシルラジカルが中和(還元)されると最終的には水になります。

体内では①~③までの反応をさせる酸化還元酵素によって無毒化されます。

 

活性酸素の無毒化(中和)の流れ

活性酸素の無毒化は、それぞれの段階に応じた酸化還元酵素によって行われます。酵素とは、そのものが反応するわけではなく、他の物質を変化させる能力をもった物質です。

ミトコンドリアによって作られたスーパーオキシドは、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)と呼ばれる酵素によって過酸化水素に変化させられます。

スーパーオキシド + SOD ⇒ 過酸化水素 + 酸素

 

過酸化水素は、鉄と反応して(酸化させて)ヒドロキシラジカルになります。また、ヒドロラジカルは過酸化水素が直接スーパーオキシドと反応することでも生成されます。

過酸化水素 + Fe2+ ⇒  ヒドロキシラジカル + Fe3+
過酸化水素 + スーパーオキシド → ヒドロキシラジカル

ヒドロキシラジカルと過酸化水素は行ったり来たりしています。

過酸化水素 ⇔ ヒドロキシラジカル

 

ヒドロキシラジカルは不安定な状態なので一瞬で反応してしまいます。したがってその前段階である過酸化水素から直接水に変化させて無毒化(還元)させる仕組みもあります。グルタチオンペルオキシダーゼ/グルタチオンリダクターゼや、ペルオキシレドキシン/チオレドキシン/チオレドキシンリダクターゼ、カタラーゼといった酵素が過酸化水素水を水へと変化させます。

 

ヒドロキシラジカルは次の抗酸化物質によって水へと無毒化(還元)されます。

  • β-カロチン
  • α-カロチン
  • ビタミンE
  • 尿酸
  • リノール酸
  • システイン
  • フラボノイド
  • グルタチオン

反応式は↓こうなります

ヒドロキシラジカル + 抗酸化物質 ⇒ 水

この中で一番反応性(酸化力)が高く、困った存在なのがヒドロキシラジカルです。

 

とってもヤバイ「ヒドロキシラジカル」

3種の中で最も反応性が高く問題となるのがヒドロキシルラジカルです。ヒドロキシラジカルは非常に強い反応性(酸化力)を持つため、細菌やウイルスに対して強い攻撃力があります。プラズマクラスターをはじめとする空気清浄機では、意図的にヒドロキシラジカルを発生させて殺菌に利用しています。

体に害を及ぼすウイルスや細菌だけを攻撃してくれればありがたいのですが、高い反応性を持つため、相手かまわず攻撃します。

活性酸素の量が少なければウイルスや細菌を中心に攻撃して中和されますが、激しい運動をしたり、ストレスを受けると活性酸素が大量に発生するため、私たちの体だろうがお構いなしに反応して変質させてしまいます。その対象は、たんぱく質、脂質、核酸(DNA・RNA)に及びます。

たんぱく質は細胞そのものですから、それが破壊されれば体にいいわけがありません。そして細胞中のDNAも損傷させてしまうこともあります。

さらに血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)と反応すると過酸化脂質となって、血管の壁に貼り付いてしまいます。血液中の中性脂肪や悪玉コレステロール値が高いと血栓ができたり動脈硬化が起こりますが、血液中の脂質が少なくても活性酸素によって血管が弱る可能性が高まります。

 

どうやったらヒドロキシラジカルを減らせる?

一般に抗酸化作用のある食べ物と言われますが、それぞれの栄養素がすべての活性酸素に有効なわけではありません。

たとえばヒドロキシラジカルにはビタミンCが抗酸化物質(還元剤)として働きます。

一方の生成されてしまったヒドロキシラジカルは、食物に含まれる抗酸化物質で還元(水に変える)ことができます。

  • β-カロチン
  • α-カロチン
  • ビタミンE
  • 尿酸
  • リノール酸
  • システイン
  • フラボノイド
  • グルタチオン

過酸化水素とヒドロキシラジカルは行ったり来たりしているので、過酸化水素のどちらかを減らすことでヒドロキシラジカルを減らすことができます。

 

SODは35歳を境に急激に減り始める

活性酸素から体を守ってくれるありがたい酵素SODですが、35歳を境に急激に減り始めます。

SOD、ROS活性酸素
抗酸化研究会より

年齢が上がるごとに体力が落ちるのは当然ですが、35歳から40歳までの間に肌の調子が急に変わるのも、癌や生活習慣病が40代から増えるのもSOD減少による活性酸素の害が表れている可能性が高いと考えられています。

SODが減り始めたら?

還元酵素が複数ある過酸化水素と違って、スーパーオキシド(過酸化酸素)を過酸化水素に変えてくれる酵素はSODのみです。スーパーオキシドは反応性が低いとはいえ活性酸素には変わりがないため、体の中で活性酸素の処理ができなくなってしまいます。

つまりSODの減少が活性酸素を無毒化(還元)することができなくなる原因で、老化につながっていると考えられています。

対策は適度な運動をして代謝を上げる。そして抗酸化物質を含む食べ物(とくにビタミンC)を意識的に摂るか、活性酸素を還元して水に戻す作用を期待できる水素水・水素タブレットを飲む、が現実的ですね。