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いまと昔の物価比較の難しさ、時代が異なるといろいろ違う

お手上げ

 

貨幣価値換算計算機(インフレ計算機という方が分かりやすいのかもしれない)をつくっていてあらためて感じことは、昔と今の金銭価値を比較するのは難しいということです。

消費者物価指数がほとんど変わらないここ20年は稀有な時代と言えます。インフレがないのがいいか悪いかという評価は別として、価格の比較はしやすい。

20年前から物価はほぼ変わっていないとはいえ、フィーチャーフォンが普及し始めた頃とスマホが当たり前の時代では消費も異なりますし、書籍やタバコは大幅に値段が上がっています。

 

計算機を作り始めた当初は経済全体が知りたかったのでGDPデフレーターを用いていました。変動なので、ほかの指標との差が大きければ、その時期の物価を調べて、その時点で妥当な指標を用いていたのですが。これがうまくいかない。

個別品目をみても意味がないし、所得が上がっている時期だとサラリーマンの月給比較も無理がある。時代背景を考えないと「貨幣の価値」はわからないという結論に至り、素直にCPIを利用することにしました。多くの人が知りたいのは生活に関わる消費者基準の物価なので、消費者物価指数の方が好ましいという点も影響しました。

貨幣の価値という点で問題になるのは、やはり原油価格の上昇やインフレが発生している時期でした。安定している時期はほかの経済指標の動きとそれほど違わないのに、オイルショックの1974年前後や戦後5年間のインフレ期はズレが大きくなります。

おそらく大きな貨幣価値変動が生じたあとは経済構造の転換も生じるため、前後では比較が難しくなるという問題もあります。例えば1974年のオイルショック後は一気に省エネに進みましたし、戦後は傾斜生産といって基幹産業に最優先で投資されたため、工業生産従事者が増えることになりました。

傾斜生産では当然給与所得者も増えるわけですから、家計のあり方も代わります。

 

その給与所得を考えると、戦後の給与所得の伸びは物価上昇より大きいため、可処分所得が増える結果となっています。必然的に私たちにとってのモノの価値が変わってしまいます。

 

戦後のハイパーインフレの時代の給与所得で興味深かったのがこちらのサイト。

昭和21年のハイパーインフレを検証する(日本国財政破綻Safety Net)

逓信省電話局(現在のNTT)なので公務員ということですが。

★昭和21年4月 基本給  45.76円(4月の収支22.38円の黒字)
★昭和21年7月 基本給 158.80円(7月の収支231.15円の黒字)
★昭和21年10月 基本給 270.80円(10月の収支71.44円の黒字)
★昭和22年1月 基本給 286.10円(1月の収支257.80円の黒字)
★昭和22年4月 基本給 678.10円(4月の収支130.29円の黒字)

1946年4月から翌47年4月までの1年間で基本給が15倍近く上がっています。

民間ではまだモノがない時代でここまで上がったかはわかりませんが、物価上昇以上の昇給となっています。物価が上がって貨幣の価値が下がっても生活は楽になるケースも有るわけです。もっともインフレが進めば黒字分の価値も下落するので束の間の喜びとなったかもしれません。

 

行き着いた先はCPI(消費者物価指数)

物価

いろいろ調べていると、調整したり、指標同士の比較は無理があるという結論にしかなりませんでした。異なる時代を比較するの無茶といえば無茶。素直に連続した指標の数字を用いることにしました。生活に関わる物価を知りたい人が多いことを考えれば、CPIを使う方が妥当でもあります。

CPIなら統計的に連続性がある1971年以降は困ませんでした。

1970年以前は多少ずれはあるにせよ、「持家の帰属家賃を除く総合指数」を用いれば1947年まで遡れます。

2015年基準消費者物価指数(統計局)

持家の帰属家賃を除く総合指数とは
持ち家の帰属家賃を除く総合指数は、賃貸に住まう人は賃貸料を支払います。家賃は家計支出になるので、消費者物価の一項目になりますが、持ち家だと賃貸料が発生しないので、世帯ごとの差が生じてしまう。そのため、持ち家でも家賃が必要だったと仮定して算出したものが「持家の帰属家賃を含む」消費者物価指数となります。

 

1947年以降は統計局の時系列データを使用しましたが、その先はどうするかで悩みました。日銀は戦前基準(昭和9年から11年が基準)の消費者物価を公表していましたが2017年1月で消費者物価の公表を取りやたためか、以前のデータも見当たらず。

そこで掲載されていたものを利用させてもらいました。

(新)近現代・日本のお金(貨幣、紙幣) 日銀消費者物価の公開を取りやめているので、昭和21年以前の日銀消費者物価はこちらから頂きました

 

21年以前からの物価変動を計算し、その変動率を昭和22年の数字に当てはめて前年分を算出しています。これを繰り返して1902年まで遡りました。

ただ、日銀消費者物価と戦後の消費者物価を比較しても差が生じています。結局のところ、指標に用いる品目によって変わってしまうため、ある時点で差異が生じると、その翌年翌々年にも影響して、指数にも差が出てしまう。

 

物価の比較は調べれば調べるほど難しくなるね、という結論に至りました。

計算機は参考程度に利用してもらえれば幸いです。

 

貨幣価値換算計算機

消費者物価推移のグラフ

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