2018年11月はふるさと納税の転換点になるかもしれない
11月21日付けの日経新聞の匿名コラム「大機小機」で、ふるさと納税の非効率性について取り上げていました。
『ふるさと納税の非効率』と題し、ふるさと納税が「自治体によるレントシーキング(超過利潤獲得競争)を誘発し、社会的資源を浪費する典型的な政策」であるとして、制度上の抱える根本的な欠陥を指摘するもの。
前出の経済学者は、人間(納税者と自治体のふるさと納税担当者)が「合理的な利己主義者」ならばレントシーキングが過熱する、と予想した。誰もが制度の趣旨を理解し、紳士的に行動するだろうという期待は「素朴すぎる性善説だ」というわけである。
「レントシーキング」は制度や政策を自らの都合のいいように変更させることで、通常では得られない利潤(超過利潤)を得ようとする営みのこと。ロビイストの活動というと分かりやすいでしょう。
特定の団体や組織にのみ都合のいい変更は生産性や公益性とは結びつかないため、社会資源の浪費となる。
コラムでは、自治体であっても制度の趣旨を理解して紳士的な行動を期待するのは「素朴すぎる性善説」であり、「合理的な利己主義者」を前提とした制度設計が必要とする経済学者の言を引いて、制度そのものの問題を明らかにしています。
自治体Aと自治体Bの2自治体の間で返礼品のつり上げ競争が生じる仕組みと、その結果の引き起こされる非効率について分かりやすく説明しているので、ぜひご一読を。
もっとも文字数制限のある中での説明なので気になるところもあります。
たとえば2018年11月現在、返礼品上限制限にごねている自治体はルールそのものを変更するよう働きかけるわけではなく、強制力のないルールを意図的に逸脱しているだけなので「レントシーキング」といっていいのか分からないこと。
また、「合理的な利己主義者」を「自治体のふるさと納税担当者」としているのは少々乱暴です。ふるさと納税の方針を決めるのは町長や市長といった首長。実態を知っている現場の担当者ほど、嫌がっているんじゃないかな。
行政機関が「合理的な利己主義者」になってしまうのは、行政そのものの否定と感じている人は少ない(はず)。
ふるさと納税についてはいろいろ思うところはあるのですが、ぼくがもっとも気になったのはコラムの内容ではなく、記事の掲載されたタイミング。
個人的な経験則になりますが、日経新聞で批判的なコラムが出た頃に、問題を内包しながらも続けられていたサービスや制度が落ち目になることが多いと感じています。
ふるさと納税にそろそろ大きな変更があるかも。
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