軽くて早い クラウド型ウェブブラウザ『Puffin Browser on Windows』

2018年6月20日ブラウザ

Puffin Browser on Windows

スマホで Flash ゲームを遊ぶための定番ブラウザアプリ “Puffin Browser"。

Puffin は開発元の CloudMosa のサーバを経由してウェブページを表示させる「クラウド型ブラウザ」なので、重いページやFlash コンテンツも軽快に動くことでも知られています。

その Puffin Browser の Windows 版が、2018年6月11日に正式にリリースされました。

これがめっちゃくちゃ早いです。

ここ半年ほどのうちに主要ブラウザが高速化しているため、描画速度の差は上の動画ほどの違いはないと思います。じゃあ何がいいのかというと、Puffin Browser は古いPCでも軽く表示が早いということ。

古かったり非力なPCでのブラウザの”もたつき”が気になるなら使う価値はあります。
現在は有料化され1年で12ドルがかかります。その価値があるかどうかは一ヶ月の試用期間で確認してみてください。

 

Puffin Browser の特徴

Puffin Browser は、開発元のサーバを介してウェブページにアクセスするクラウドタイプのブラウザです。

通常のブラウザであれば、(プロクシがない限り)閲覧ページを直接読みに行きます。それに対し Puffin では、閲覧したいウェブページへは開発元のサーバが代理でアクセスし、その結果をPuffin Browser で表示しています。

サーバで受け取ったウェブページの情報は、Puffin Browser での表示のための処理をしてから手元のパソコンに送られてきています。つまりPuffin Browser は、下処理されたデータを表示させているわけです。

通常のブラウザで表示させる処理の一部をサーバで行っておき、その結果だけを専用ブラウザであるPuffinで表示させていることになります。

この方式のいいところは、表示のための処理をサーバで行うことでパソコン側の描画にかかる負担が小さくなること。データの圧縮も行っているため、通信量の節約にもなります。スマホ版 Puffin の表示速度が早く軽快なのはこの仕組みによります。

サーバを介さず直接読みに行くほうが早くなりそうなものですが、さにあらず。
ページを読み込んでCSS(レイアウト設定)を解釈して表示という描画のプロセスに時間がかかるため、サーバからのレスポンスよりも描画処理にかかる時間が増えています。

特にスマホでは処理能力に限界があったため、時間がかかる描画処理をサーバが負担するクラウド型の効果は絶大でした。

Windows 版も同じ仕組みで、PC 側での処理が軽減されているために表示が早いというわけ。表示のための処理を行わない分、古い PC やちょっと非力なノート PC 、モバイル環境での利用にこそ効果を発揮します。

 

使い方・オプション

リリースされたばかりということもあって、設定項目は非常に少なく、よくいえばシンプル。

少ないというよりほとんどないというべきか、インストール時にもとくに設定することはありません。

Chromium 系なので、基本的なインターフェースは Chrome や Opera と同じ。

Puffin Browser on Windows

指定できる検索エンジンは、"Google", “Bing", “Naver", “Yandex" の4つのみ。

キャッシュクリアは期間の指定ができません。

 

クラウド機能の切り替え

Windows版では、クラウドサーバーを経由するか、直接ウェブページにアクセスするかを切り替えることができます。

アドレスバー左に表示されているパフィン(ニシツノメドリ)クリックで、クラウドサーバーの状態が表示されます。

Puffin Browser on Windows

クラウドを利用すると、アクセス先のサーバーからは海外からのアクセスとみなされます。サーバ側で海外からのアクセス制限がかけられていると、ウェブページが表示されない可能性があります。同じ理由から、不正ログイン検知に引っかかり、利用しているサービスからの警告メールが届くこともあります。

動画通信は例外的にクラウドサーバーを経由しませんが、一般にはサーバ経由でデータが送られてきます。

動画であっても Flash Player を使ったものはサーバーで処理されてから届きます。Flash コンテンツの画像はスマホアプリと同じ解像度のようで、PCでは画像が荒く違和感があります(Puffin への Flash Player はインストール不可)

 

Puffin Browser on Windows

海外からのアクセスを受け付けていないサイトにアクセスしたいときは「クラウドサーバを有効にする」オプションをオフにします。すると国内からのアクセスとみなされるようになります。

 

Puffin Browser の安全性

Puffin は Chrome や Opera と同じく Chromium をベースとしているため、同系統のブラウザを使ったことがあれば迷うことなく使えます。クラウドサーバーを使わなければ通常のウェブブラウザとして、直接ウェブページを読みに行きます。

一方、Puffin でクラウド機能を使うと開発元の CloudMosa サーバを経由することになります。

Puffin はプライバシーの安全性をうたっており、サーバとのやり取りに SSL(暗号化通信) を利用しています。そのため、公共のWifi スポットで利用してもプライバシーの心配はないとしています。しかし閲覧するウェブページが一度サーバで処理される以上、CloudMosa のサーバではあなたがブラウザで何をしているか丸見えとなってしまいます。

CloudMosa を信用するなら安全と考えられますし、信用できるか分からなければ不安視することになります。ただ、Apple や Google の審査をパスし、数千万ダウンロードがあるアプリの開発元なので、あまり不安がる必要もないでしょう。

 

用途を絞ればかなり便利

Puffin の表示速度は早いには早いですが、他のブラウザと比較して200%とか400%増しというのは例外的なケースだと思います。

高速アップデートが入る前のFirefox や Edge と比較すれば200%程度の違いはあったかもしれませんが、今は主要ブラウザで高速化が図られているので、描写タイミングによる体感速度のほうが影響は大きいはず。

10%、20%程度の違いなら、ブックマークや履歴が統合されている普段使っているブラウザで構わないのですが、古いPCやウェブページの表示がもたつくと感じるノートであれば、使うメリットは大きいです。

機能拡張は使えない、ブックマークも共有できないなど不便さはありますが、オンラインのブックマークサービスやRSSリーダーを利用していて、ブラウズだけするといった使い方には便利なブラウザです。現在は有料化され1年で12ドルがかかります。その価値があるかどうかは一ヶ月の試用期間で確認してみてください。