少子・超高齢化社会の理解に役立つ良著3冊 人口問題は本で読まないと理解しづらい

雑学、雑感

「子どもの出生数が100万人を割った」「人口が大幅に減りはじめた」

こんなニュースを目にするようになって久しく、みな高齢化も少子化も進んでいるという知識はある。しかし、それがどんな意味を持つのかについては今ひとつ把握しにくい。

理由は単純で、常に意識し続けるには変化が緩やかすぎるからだ。

1年で子どもの人数が半減していればだれしも気づくだろうが、1年で減るのは数%といったところ。1年2年で直感的に感じることは難しい。

「なんとかしないといけないだろう」とは思っていても、切迫感はない。

そんな人におすすめの3冊をピックアップ。どれも考える取っ掛かりになる良著です。

 

最新のデータから具体的な未来像を知る

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』

少子化とは分っていてもいまひとつピンとこない人には、最新のデータを用いて具体的に生じるであろう未来を予測する『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』が最適。

少子高齢化でどのような影響が生じるのかを具体的に時系列を追って解説された第1部の「人口減少カレンダー」はインパクトもあって分かりやすい。

  • 2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
  • 2026年 認知症患者が700万人規模に
  • 2039年 深刻な火葬場不足に陥る

このような実際に起こりうることがずらりと並び、これまで興味がなかった人でも「なるほど」と思える構成になっている。

第2部は解決策の提言となっているが、粗があるのであまり意味はない。

たとえば第2部では高齢者でも昔より矍鑠としていることを鑑みて、高齢者の定義を75歳以上とすることで「高齢化」を緩和するという方法を述べている。

これはこれで考え方の1つだが、第1部では「2021年 介護離職が大量発生する」として、親の介護のために離職するケースが増えることを指摘している。介護が一段落しても復職は容易ではないとも書いている。

社会的にインパクトがあるほど介護離職が増えるなら、「高齢者」の年齢を引き上げたところで、なかなか働き口が見つからない高年齢の人が増えることになる。

移民受け入れについても偏った見方をしているのが気になるところ。永住権を取得して永住することを移民としているのだが、移民が歳を取った老後にはコストがかかるため、移民受け入れに否定的だ。

移民の受け入れについての立場は色々あるだろう。しかし永住権を取得するまで働いて、その後も日本社会で暮らした人の「老後のコスト」をことさら公費から賄うことを持ち出すのはフェアとはいえないだろう。

国籍を問わず、日本で働き納税してきたのなら当然受けられる権利である。いつまでに帰っていただくといった都合のいいときだけ利用するようなスタンスでは、向こうからお断りと言われるのも時間の問題だろう。

「いつまでも日本が魅力的に映るとは限らない」と指摘しているように、おそらく毎年10万人単位の「日本の眼鏡にかなう」移民の受け入れをしたくなってもすでに時遅しだろう。

 

日本社会とヒトにとっての人口の「意味」から少子高齢化を探る

『2100年、人口3分の1の日本』

ヤバいとは思っていても、どうヤバイのかわからない人は『2100年、人口3分の1の日本』の方がいいかもしれない。

参考に用いている『日本の将来推計人口』が2006年版なのをはじめとして、2011年までの情報に基づいているため内容的には古い。

しかし人口動態は10年20年では変わらないため問題なく読める。

『人口3分の1の日本』では歴史的な人口の変動から人口ボーナス・人口オーナスといった経済学の理論にも触れながら、抽象的な「人口」という言葉を解説していく。

一通り目を通せば少子高齢化によって社会のあり方はどう変わるのか、人とのつながり方はどう変化するのかといった、「人口の変化」という現象がもつ意味まで掘り下げているため、全体像を把握することができる。

  1. 100年後、日本人口は4000万人になる
  2. 人口4000万人の暮らしと経済
  3. 人口4000万人の都市と地方
  4. 人口4000万人の人間関係
  5. 外国人5000万人の未来
  6. 人口100億人の世界
  7. 未来には必ず希望がある

文化・社会と人口の問題を理解をしたいなら絶対読むべき良著。学者らしい切り口で落ち着いた論調なので煽りが多い昨今の新書に辟易している人にもおすすめ。

 

超高齢化社会を捉える視点を持ちたいなら

『超高齢社会の基礎知識』

親が、あるいは近い親戚が要介護とならないとなかなか知ることのできない高齢者と健康について、医療・保険・福祉といった観点からデータに基づいて概観できる。

昔の70歳より、今の70歳は遥かに若く活動的だ。実際、アクティブ世代として元気にしているヒトっも多い。

そうは言っても必ず衰える時は来る。「生きている間は元気に動き回り、死ぬ時はぽっくり逝きたい」という願いは誰しも抱くが、それは難しいことも明かされる。

超高齢化社会のはらむ問題からはじまり、高齢者を前期と後期に分ける意義や、個々にとっての介護・医療といった現実的な話まで網羅。

タイトル通り、基礎知識として知っておきたい内容がまとまった一冊。

この3冊を読めば概要は把握できる。

そして「自分の身は自分で守らないと」「子どもの世代にツケを押し付けないために貯金をしなければ」と皆が考え、消費を控えたら景気に悪影響が出るという両刃の剣でもある。

こういった合成の誤謬を減らすのが政治の役割なのだが、政治が無策でどうしようもない状態になっている。移民20万人受け入れを完全否定しながら、かといって具体的な代替案もなし。

消費を控えて蓄財に走るのは当たり前のこと。

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